ビジネスモデルの可視化ツール7選

新規事業に取り組むとき、またはすでに存在する事業を再考するとき、ビジネスモデルを可視化することは非常に重要です。「ビジネスモデルキャンバス」の登場後、その可視化は広く一般的になりましたが、本当にそれだけが適切なツールでしょうか?

本記事ではグローバルで認知される7つのビジネスモデル可視化ツールをご紹介するとともに、最後には「ビジネスモデルツールファインダー」でツールの選び方をまとめました。

1. ビジネスモデルキャンバス (2008年)

概要

アレックス・オスターワルダーとイヴ・ピニュールによって開発されたこのツールは、ビジネスモデルの可視化ツールの中でも最も広く知られています。

主な特徴

  • 9つの要素(顧客セグメント、価値提案、チャネル、顧客関係、収益の流れ、主要リソース、主要活動、主要パートナー、コスト構造)でビジネスモデルを表現
  • 1枚のキャンバスでビジネス全体を俯瞰できる
  • 各要素の関連性が明確

適した使用シーン

  • 新規ビジネスの構想段階
  • 既存ビジネスの再検討
  • チーム内でのビジネスモデルの共有と議論

2. リーンキャンバス (2010年)

概要

アッシュ・マウリャによって開発され、ビジネスモデルキャンバスをスタートアップ向けに最適化したツールです。

※右上ロケットマークの項目がビジネスモデルキャンバスとの相違点

主な特徴

  • 問題、ソリューション、主要指標、独自の価値提案に焦点
  • より簡潔で、スタートアップの不確実性に対応
  • 仮説検証のプロセスを重視

適した使用シーン

  • スタートアップの初期段階
  • ビジネスアイデアの検証
  • 迅速な仮説立案と検証が必要な場合

3. バリュープロポジションキャンバス (2014年)

概要

ビジネスモデルキャンバスの作者たちによって開発された、価値提案に特化したツールです。

主な特徴

  • 顧客プロフィールと価値マップの2つの部分で構成
  • 顧客のニーズと提供する価値のマッチングに焦点
  • より詳細な顧客理解を促進

適した使用シーン

  • 製品開発の初期段階
  • 既存製品の価値提案の再検討
  • 顧客中心のビジネス戦略の策定

4. ビジネスモデルナビゲーター (2014年)

概要

オリバー・ガスマンらによって提唱された、55のビジネスモデルパターンを活用するツールです。

引用:https://www.layers.co.jp/solution/bizmodelrev/

主な特徴

  • 既存の成功したビジネスモデルパターンを参考に新しいモデルを構築
  • 4つの次元(誰に、何を、どのように、なぜ)でビジネスを考察
  • 創造的なビジネスモデルのイノベーションを促進

適した使用シーン

  • 既存ビジネスの革新
  • 新規ビジネスモデルのアイデア出し
  • 業界を超えたビジネスモデルの転用

5. ジョブ・トゥ・ビー・ダン・キャンバス (2016年)

概要

クレイトン・クリステンセンのジョブ理論に基づいて開発されたツールです。

詳細:https://www.jtbdtoolkit.com/jtbd-canvas

主な特徴

  • 顧客の「ジョブ」(達成したい進歩)に焦点
  • 機能的、感情的、社会的側面からジョブを分析
  • 顧客の文脈や障害を考慮

適した使用シーン

  • 顧客中心の製品開発
  • マーケティング戦略の立案
  • 顧客のニーズを深く理解する必要がある場合

6. ミッションモデルキャンバス (2016年)

概要

スティーブ・ブランクによって開発された、非営利組織向けのツールです。

詳細:The Mission Model Canvas – An Adapted Business Model Canvas for Mission-Driven Organizations

主な特徴

  • 社会的影響とミッションに焦点
  • 受益者と資源提供者の両方を考慮
  • インパクト指標を重視

適した使用シーン

  • 非営利組織の戦略立案
  • 社会的企業のビジネスモデル構築
  • ミッション主導型組織の戦略的アライメント

7. プラットフォームキャンバス (2019年)

概要

マルセル・オールヴァインズによって設計された、プラットフォームビジネス特化型のツールです。

詳細:https://www.theplatformcanvas.com/

主な特徴

  • プラットフォーム参加者(生産者、消費者、パートナー)の役割を明確化
  • 価値の交換と相互作用に焦点
  • エコシステムの視点を重視

適した使用シーン

  • プラットフォームビジネスの設計
  • 既存ビジネスのプラットフォーム化検討
  • マルチサイドマーケットの戦略立案

まとめ

様々なツールを見てきましたが、結局どのツールを使えばいいかわからないというときは、ビジネスモデルツールファインダーで見つけるのがおすすめです。

ビジネスモデルツールファインダー

ツール選びのポイントは、以下の通りです。

  1. ビジネスの段階
    スタートアップの新規事業なら「リーンキャンバス」が適しています。
  2. 改善に注力したいポイント
    既存事業の改善で価値提案に集中したい場合は「バリュープロポジションキャンバス」、顧客のニーズに深く迫りたい場合は「ジョブ・トゥ・ビー・ダン(Job-to-be-done)キャンバス」が有効です。
  3. ビジネスの性質
    プラットフォームビジネスなら「プラットフォームキャンバス」、非営利組織なら「ミッションモデルキャンバス」がおすすめです。
  4. ビジネスモデルの探索
    既存事業を元にビジネスモデルのパターンを探索したい場合は「ビジネスモデルナビゲーター」が役立ちます。
組織やチームの経験として初めての試みであったり、特定の注力ポイントがあるわけではなく全体的に俯瞰したい、見直したいという場合は「ビジネスモデルキャンバス」が使いやすいです。

また、ツールはあくまでも思考を整理し、議論を促進するための手段であり、「枠を埋めること」そのものが目的ではありません。一つのツールに固執せず、必要に応じて複数のツールを組み合わせたり、時間の経過とともに異なるツールも使用してみてください。

各要素について深く考え、チームで議論を重ね、実際の顧客や市場からのフィードバックを得ながら、継続的に改善していくというプロセスが成功への道筋となります。

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